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Posted by ミリタリーブログ at

2012年10月04日

お前みたく夕方をおっかなびっくり歩くのもいいかも知れない

「ボーっとしている」「口癖はニャー」「適当」「まぁ仕切りは良いかな」「面白いヒト」など、どちらかと言えば冴えない漢。それがマイマス・・・もとい我が上司の大抵のイメージだ。
統率力や咄嗟の判断など優秀な面はあるが、それが霞むほど人当たりの良い天然なオッサンなのが普段の印象だと思う。
しかし、付き合いが長くなるほど彼に対する印象は変わるようだ。10年以上の付き合いがある者はこぞって彼をこう呼ぶ。
『キレ者』と。
彼の戦友とも呼べる、ある男(我が社のガニー)が今日、突如あらわれた。(本当、急に来るとかなり迷惑だ。)
『ガハハハ・・・おうっ!てっぽさん。元気かぁ?いいねいいねぇ』いつものガニー節で周囲を自分のペースに染めていく。
『ヤツ(上司)やっちまったんだってぇ?この歳でやるねぇ何考えてんだか』いつもながら耳が速いな。
『て、事はよ。お前も行くんだろ?行くんだろ』ん?何の話しだ。わたくしはどこへも行かないぞ。行きたくも無い。
『ちょっと席外せるか?』ガニーはいつになくシリアスな面持ちでわたくしを促した。休憩所に向かう道すがら、いつもならガハハハと笑いながらどうでもいい話しをぶつけてくるガニーが一言も発しない。不安を通り越してこっちがガニーを心配してしまうほどだ。

わたくしはこう見えても(見えないけど)甘い紅茶がニガテだ。例えるなら、わたくしにフリーフォールをさせたり、バンジージャンプをやらせるようなモノだ。ん?

休憩所に着くとガニーは自販機に向かい振り向きざまに『飲めよ』と午〇の紅茶(レモン)をアンダースローでポィッと投げた。
わたくしは華麗にスウェーしようと思ったが怒られそうなのでしかたなくキャッチした。この場合は缶コーヒーだろ普通。なんで紅茶なんだ?
ガニーはショッポに火を灯け地の底より深い溜め息を紫煙とともに吐き出した。わたくしはそれをただ黙って見ていた。
『昔はさぁ・・・』いきなり切り出され、わたくしはキョドった。『へっあぁ!!はい。』このうえないトンマだ。
ガニーは決め台詞をやり直した。『昔はさぁ、ヤツと2人でさんざやってさぁ・・・』ガニーが『やる』と言うと『殺る』に聞こえる・・・
『俺たちの上司もさぁ 頭下げてやるから好きに暴れてこいって言ってくれてよ・・・』武勇伝だな。キライじゃないぞ、そういうの・・・
『まだ若かったんだよなぁお客とだって喧嘩できねぇとなんて息巻いてさぁ。あいつがだぜぇ信じられるかぁ』先月までだったら信じなかったな・・・
『俺なんかよりずっとイケイケでさぁすっかり大人しくなったと思ったら・・・やっぱヤツだよなぁ』まるで故人を偲んでるみたいだな・・・
『で、お前はどおするよ?えぇてっぽさん!!』キター!!こいつはコレのためにこんな長台詞を歌いやがったのか。
『ヤツぁ言ってたぜ。お前見てると危なっかしくって一緒に鉄火場なんか連れてげねって』ホッとしたが役立たず宣言か・・・
ここで調子良く『わたくしもついていきます』なんて言っていいのか?ある意味究極の二択だ。今や元キレ者ではなく切れ味鋭い漢に戻った我が上司と鬼軍曹ガニーが強力にタッグを組んだ。ただ、このふたりの事だこの先ハンパ無い修羅場が待っているのは容易に想像できる。
正解の無い二択に答えを窮していると、今までにない・・・まるで親が子を見るように微笑みながらガニーはショッポを灰皿に捨てた。
『ガハハハ・・・バッカヤロウ!バァカ!!お前なんかアテにしてねぇって言ったじゃねか』バカって続けて言われた・・・
『全く甘ちゃんだよお前は、ヤツが心配すんのも分かるぜ!!』何なんだ?この展開は
『お前はまだ先があんだよ、まだな。こんなバカ騒ぎは俺たちだけでいいんだよ。お前は行きたくも無いのに気ぃ使ってバカじゃねぇか。あぁバカだ』バカバカ言われっぱなしだ・・・
『ヤツは言ってないだろう?今月で移動だ。まぁクーデター失敗ってやつだ。俺もだけどな』なにぃ?何も聞かされてないぞ・・・
『お前は部外者だ!関係無い。わかるな?関係ないなんだ。』・・・
もう一本ショッポをゆっくりと味わい、ガニーは休憩室から出て行った。わたくしは呆然と見送っていた、ただ呆然と。
部署にもどると上司がわたくしのデスクでイタズラをしていた。内容が思い出せないほどくだらないイタズラを・・・
わたくしが戻った事に気が付き笑いながら振り返り『ハハッバレちゃった』何も知らない周囲はいつものように失笑をする。
『バレちゃった』おそらくいくつかの意味が含まれているだろう。わたくしはその場で理由を聞きたかったが、いつものようにおどけた。
日勤者が帰っていった。上司のそばに行こうと思ったがうまい言葉が浮かばずもんぐるもんぐるしていると向こうから
『気にすんなよ。これは俺たちの問題なんだからさ』その言葉が余計に切ない。結局わたくしは彼らの何の役にも立たなかっただけだ。

一群を率いて突き進むには度量やらいろいろなモノが必要だ。上司やガニーにはわたくしの歳にはすでにそれがあった。
そして率いてくれた彼らはいなくなる。まだいろいろ書きたいがいろいろが足りない事に打ちのめされるだけな気がする。

先陣切って飛び込む覚悟はあったんだが・・・


Au revoir


皆様との幸せな時間がいつまでも続きますように

ではでは
  

Posted by てっぽさん at 23:20Comments(2)筆まぶし