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Posted by ミリタリーブログ at

2012年10月12日

「わたし、小さいおじさんの姿の妖精を見たの」

秋は物悲しい。なんとなく寂しい。なぜ、誰が、そんな事を言い出したか定かでは無いが、大抵の物質はあっためりゃ伸びて、ひやしゃ縮む。
ニンゲンの脳ミソも似たかよったかで夏のクソ暑さでダユダユになった後の朝晩の冷え込みで脳ミソがキュッとなって、なんか切ない?んじゃないかと考える。
生物学もニンゲン工学もどうでもいい、わたくしにとって秋は睡魔との闘いだ。まぁ春も・・・ついでに夏と冬も。
特に眠いのが秋なんだよ。

ある日、明け方と言うか、もうすぐ8時くらい・・・かな? 日勤が来る直前、わたくしは不覚にも居眠りをぶっこいた。これが始めてってワケじゃないし、「後は日勤と引き継ぎして終わり」なんて時は「果報は寝て待て」状態で待ってる時があるくらいだから、ソレが問題ってワケじゃないんだ。問題だったのは・・・新卒バリバリ(・・・バリバリって)っても半年は過ぎたな。その新卒の女子が早出、しかも初早出だそうで。わたくし殆ど接点が無かったからどんなヤツか知らなかったのだ・・・。

わたくしは居眠りをする時は必ず腕を枕にして机に突っ伏して寝る。こうすると、30~40分くらいで腕がしびれて目が覚める。
不快なアラームをセットすることなく起きるナイスアイデアなのだ。
そんなナイス・マイ肉枕で惰眠を貪っていると『コショコショコショ・・・』と聞き取れるか取れないかギリギリの音声でしゃべる声が聞こえる。
ははぁ~ん気を使って小声で話しをしているんだな。結構、今年の新人は当たりが多いじゃない。なんて事を考えながら突っ伏していた。
このまま起き出しても能がない、いつもの「少年の心」に火が灯った。古典的だがバッと起きて脅かしてやろう、これもコミュニケーションのひとつだ。
起き上がるタイミングを計る。・・・しかし、疑問がヒトツ。アイツは一体だれと話してるんだ?
そう、早出は各チーム一人。それ以上出るのは経費が掛かるからダメッ!ゼッタイ!!と力強くお達しが来ているから、みな喜んで言う事を守っている。だからわたくしの終業時間は無視される・・・話しが逸れた。
つまり、新人の女子がひとりで出社したはずなのだ。
もはや脅かす事はすっかり忘れ、"行確"を開始する。しかし、聞きとれる声は一人分のみ、どこのどいつだ?ステルスボイスの持ち主は。
集中を重ねるうちにだいぶ内容が聞き取れてきた。そしてわたくしは、その内容に戦慄する。

『ははは!今日も良いお天気ねぇ。うん、大丈夫!お仕事頑張るよ!!』

まるで彼氏と電話で話しをしているようだが明らかに携帯を使っている様子は無い。さすがに引き継ぎもしたいので、極力自然にを心がけ、超不自然に起き上がった。
『おっおう!おはよう。〇〇さんだっけ?初早出お疲れ様・・・』わたくしバカー!不自然すぎだろ。しかし、彼女は普通にあいさつを返し、非常にスムースに引き継ぎをこなしていった。いつもの若い衆の半分の時間で終わってしまったのだ。たしかに当たりだ、優秀だ。しかし、アレは一体何だったんだ?「疑問に思ってたら素直に行動しよう」スイッチがONされた。

『あ、あのさぁ。さっき誰と話してたの?』なるべくマイルドに、なるべくソフトに。わたくしは昔のシトロエンのシートのようにやさしく聞いてみた。

『あぁ!!私、妖精 見えるんです 予想通り。だが、ショッキング。

しかも身じろぎひとつせず、しっかりとわたくしの瞳を凝視している。偽りは無い・・・本物だ!!

応えに窮し、完全に目が泳いでいるわたくしに彼女はニッコリと笑い、こう呟いた。

『ウソですよ!イヤホンマイクで彼に電話してたんですよっ!!』

皆さんはどっちが本当だと思いますか・・・

わたくしなら捕まえて売り飛ばす・・・ウソですよ!


Bienvenu au monde que tu ne connais pas.


皆様との幸せな時間がいつまでも続きますように

ではでは  

Posted by てっぽさん at 22:26Comments(4)ショート・ショート