2014年05月10日
国境まで、あと何マイル
『おい!起きろ』
強く肩を叩かれ片目を開く
『なんだ生きてるじゃねぇか』
もう一人の男が呟く。
『どっちでもかまわねぇが、もうすぐ到着するんでね』
肩を叩いた男がわたくしにタバコを差し出す。
見たことも無い銘柄だ。申し出を断り、自分のタバコに火をつける。
『お前の安物はいらねぇとさ』もう一人が茶化す。
それ以外なにも無い砂埃だらけの中を車は文句ひとつ言わず進んでいた。
―――――――――――12時前――――――――――
『これを頼めるのはお前だけだ。』
背後に気配を感じ、振り向き様に後頭部に衝撃。気が付けばコーヒーの薫りで夢かと錯覚しかけたが、麻袋を被せられヘリに乗せられている。
『…マンデリンだな』と呟いてみた。
『ほぅ分かるのか。残念だがコナだ。』
途端に目の前に光が注ぎ込み、コーヒー地獄から解放された。
『手荒な真似をしてすまない。こうでもしないと来てはくれんだろう?』
ようやく目が馴染んだ目の前にはファティーグ姿の大尉がタバコを揉み消していた。
『何の真似だ!』わたくしは立ち上がろうとしたが手足を椅子に縛られている。
『まるで野獣だな。だが、そうでなくてはな。』
大尉は全てを見透かすような口調で微笑んだ。
『よし!外してやれ。』大尉は部下に指示を出し、手足は主の自由になった。
『一杯どうだ。』大尉は琥珀色のグラスを差し出した。
『わたくしはスコッチしか呑らないんでね』
大尉は肩をすくめて見せた。
『こんな大袈裟な招待を受けて、酒盛りってことは無いだろ?』
わたくしの問に大尉は背を向けタバコに火を着けた。
暫しの沈黙の後、彼は深く紫煙を吐き出し囁くようにこちらを向いた。
『この続きは後日』
強く肩を叩かれ片目を開く
『なんだ生きてるじゃねぇか』
もう一人の男が呟く。
『どっちでもかまわねぇが、もうすぐ到着するんでね』
肩を叩いた男がわたくしにタバコを差し出す。
見たことも無い銘柄だ。申し出を断り、自分のタバコに火をつける。
『お前の安物はいらねぇとさ』もう一人が茶化す。
それ以外なにも無い砂埃だらけの中を車は文句ひとつ言わず進んでいた。
―――――――――――12時前――――――――――
『これを頼めるのはお前だけだ。』
背後に気配を感じ、振り向き様に後頭部に衝撃。気が付けばコーヒーの薫りで夢かと錯覚しかけたが、麻袋を被せられヘリに乗せられている。
『…マンデリンだな』と呟いてみた。
『ほぅ分かるのか。残念だがコナだ。』
途端に目の前に光が注ぎ込み、コーヒー地獄から解放された。
『手荒な真似をしてすまない。こうでもしないと来てはくれんだろう?』
ようやく目が馴染んだ目の前にはファティーグ姿の大尉がタバコを揉み消していた。
『何の真似だ!』わたくしは立ち上がろうとしたが手足を椅子に縛られている。
『まるで野獣だな。だが、そうでなくてはな。』
大尉は全てを見透かすような口調で微笑んだ。
『よし!外してやれ。』大尉は部下に指示を出し、手足は主の自由になった。
『一杯どうだ。』大尉は琥珀色のグラスを差し出した。
『わたくしはスコッチしか呑らないんでね』
大尉は肩をすくめて見せた。
『こんな大袈裟な招待を受けて、酒盛りってことは無いだろ?』
わたくしの問に大尉は背を向けタバコに火を着けた。
暫しの沈黙の後、彼は深く紫煙を吐き出し囁くようにこちらを向いた。
『この続きは後日』
Posted by てっぽさん at 23:09│Comments(0)
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