2013年08月13日

猛夏のお嬢さん

世間は盆休みらしい(ひつこい)
しかし、こんなわたくしにもプチ…ミクロ?盆休みが。
さすがに会社が鼻息荒く走り回っても相手が休みでは大してやることも無く
昼過ぎにボスの一言

『もう帰るか』

今日くらい休みでも良かったんじゃ…
まぁただでさえ休みが少ないんだから、ここはありがたく蜻蛉で景色の揺れる帰路に着いた。

酷暑。それ以上の表現があるなら、そう呼びたい状況の中
やることも無く僅かな日陰に避難するこてっぽさん(仮)と暑さを共有しながらビールを呑んでいた。
暑いを通り越し痛いような日差しの中、我が身から去っていく水分を観察していると
我が家の僅かな日陰に佇むご婦人の姿が
近所では見かけないお婆さんに色々な意味で不安を感じ声を掛ける。
『どうかされましたか?』
遥か昔お嬢さんだったご婦人は恐縮し立ち去ろうとしたが、その足取りは辛そうだ。
よろしければ冷たい水を一杯いかがでしょう?
いくら『遥か昔お嬢さんだった』とはいえ下心は無い。
単純に親切心で口から出た言葉だ。
多少…そう。多少だよ 見た目が怪しいおっさんだが、目の前の家から出てきた奴に安心したのか、お婆さんはわたくしの申し出を受け入れた。
わたくしは氷をたっぷり入れた麦茶を差し出す。
慎ましくお礼を言いながら麦茶を飲み干す彼女を見ていると暑さに参っていたのは明らかだった。
彼女はなんでも孫に逢いに遠方からやって来たらしい。
バッグから年賀状を出し、この住所を知らないか?と訪ねる。
かなり見当違いな場所にいることを教え、駅に送ることにした。
道すがら、孫の話しを嬉しそうにする彼女を横目に、今度は自分がヤバい事に気付く。
駅に到着し目的地への切符を買うのを確かめ彼女の旅の安全を心から祈った。
深々と頭を下げる彼女と別れ帰路に着く。
いきなりの外出。飲み物を買うにも財布が無い
徒歩15分ほどの道のりが永遠に感じる。
まるでゾンビのように歩いていると、後ろからクラクションと声を掛けられる。
ガサツなダミ声だがわたくしには天使の歌声に聞こえた。
『てっぽちゃん何やってんだい?早く乗りな』
そう、彼女は隣のババァ
さっきの彼女とはだいぶ違うが、遥か昔はお嬢さん…に違いない

わたくしの女神さ

この時期、無帽で無一文の外出は命取りだ。

どれにしようかな?

ひつこくショットガン推し(笑)




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